18ケ月連続で減少している粗鋼生産

投稿者: | 2016年03月23日 09:00

日本は今や中国に太刀打ちできない程の粗鋼生産量となっていますが、今後中国が本格的に日本向けに輸出ドライブをかけてきた場合、集約された今の生産体制でもやっていけなくなるかもしれません。

2月の粗鋼生産量は一年前に比べ1.0%減少の835万5000トンとなっており、これで18ケ月連続の減少となっているのです。

この18ケ月連続というのは、昭和49年のオイルショック後まで遡ると言われており、今やあの当時の悲惨な状況にならんでいるのです。

 

中国は今や4億トン近い過剰生産能力をもっており、輸出は1.5億トンとも言われている中、日本は今や年間1億トンを生産するのがやっとであり、中国が本気で日本向け輸出を強化し、日本の鉄鋼業界潰しを仕掛けてきた場合、ダンピング課税申請をして日本国内流入を防ぐしかありませんが、それができる政治状況かどうかを見ればよく分かります。

 

今や世界中で鉄鋼会社の経営危機がささやかれており、日本も例外ではありません。

新興国で鉄鋼需要が急増すると見込み、日本企業が援助して世界中に造りに作った粗鋼生産設備ですが、今や需要が「消滅」してきており、このままいけば「ブーメラン現象」で日本の粗鋼生産設備が必要なくなる事態もあり得ます。

特に日本の設備は老朽化しており、円高になれば海外から調達する分が割安になりますので、日本製は競争力を無くし今後仮に1ドル100円突破となれば日本の鉄鋼業界は生きていけなくなる可能性が出てきます。

 

一部の自動車・船舶向け特殊な高品位の鉄鋼製品に特化するにしましても、それだけでは全体の赤字を消せる筈もなく、生き残りをかけた大規模なリストラ・設備廃棄をして縮小しながら生き残りを図るしか道はないかもしれません。

 

「鉄は国家なり」と昔言われていましたが、今や鉄は「斜陽産業」になりつつあり、新日鉄と住金が合併する時代であり、今後その「新日鉄住金」さえも苦境に立たされることもあり得る状況に鉄鋼業界が陥っているとも言えるのです。

昭和49年のオイルショック時に匹敵する減産を今経験している鉄鋼業界は果たして生き残ることが出来るでしょうか?

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